【特集】日本人が見つけた自己抗原・抗原

企画:宮崎泰成


 すべての疾患において,原因が明らかにされると疾患概念は変ってくる。特に,免疫アレルギー疾患においては,その疾患の原因である自己抗原や抗原が明らかになると,病態が明らかになり,最終的にはそれまでの診断や治療戦略が見直され大きく変わることがある。

石坂公成博士のIgEの発見を始め,日本人はアレルギー性疾患の分野で多大な貢献をして来た。本企画においては,各専門家の皆様に,日本人による自己抗原・抗原の発見がその疾患概念や診断・治療にどのような与えた影響を与えたかについて概説していただく。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー:グリアジン

小松﨑恵子* 中村陽一*

*横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター(〒231-8682 神奈川県横浜市中区新山下3-12-1)


ω5-Gliadins, the major allergen component in Wheat-Dependent Exercise-Induced Anaphylaxis

Keiko Komatsuzaki*, Yoichi Nakamura*

*Medical Center for Allergic and Immune Diseases, Yokohama City Minato Red Cross Hospital, Yokohama


Keywords:アレルゲンコンポーネント,食物依存性運動誘発アナフィラキシー,小麦依存性運動誘発アナフィラキシー,ω5グリアジン/allergen component,food-dependent exercise-induced anaphylaxis,wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis,ω5-gliadins


呼吸臨床 2017年1巻3号 論文No.e00015
Jpn Open J Respir Med 2017 Vol. 1 No. 3  Article No.e00015

DOI: 10.24557/kokyurinsho.1.e00015


掲載日:2017年12月8日


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要旨

 食物依存性運動誘発アナフィラキシーは即時型食物アレルギーの特殊型で,特定の食物摂取と運動等の二次的要因の組み合わせにより蕁麻疹・アナフィラキシー等のアレルギー症状を来すものをいう。本邦の成人発症例で最も多い原因は小麦であり,特に小麦依存性運動誘発アナフィラキシーといわれている。粗抗原である小麦特異的IgEは陽性率が低く,負荷試験にても症状が誘発されなかった場合には診断に難渋するケースもあった。近年,成人小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのアレルゲンコンポーネントがω5グリアジンであることが本邦より報告され,特異IgE抗体測定が2010年10月から保険収載されたことで,一般臨床での診断を多いに助けることになった。