呼吸臨床

【特集】「成人肺炎診療ガイドライン2017」を読み解く

企画:川名明彦


 肺炎は,今後も社会の高齢化を反映して増加し続けると予想されます。肺炎はありふれた疾患で,呼吸器科以外の医師も遭遇し得る一方,専門的な知識も求められ,適切な肺炎診療のあり方を示すガイドラインの必要性は高いといえます。このたび日本呼吸器学会の成人市中肺炎診療ガイドラインが10年ぶりに改定されました。新ガイドラインは,真の意味でのevidence based medicineを実践し,「Minds診療ガイドライン作成の手引き」に準拠するなど新しい考え方が導入されています。それと同時に冊子のページ数は旧版のほぼ倍に増え,短時間でその内容を掴むにはややハードルが高くなったようにも見えます。本特集では,この新ガイドラインのポリシーと内容をコンパクトに解説いただくことを企図し,作成に関わった先生方にご執筆をお願いしました。

改訂ガイドラインの基本ポリシー

迎 寛*

*長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学分野(第二内科)
(〒852-8501 長崎県長崎市坂本1-7-1)


Basic policy of new Japanese guidelines for the management of pneumonia in adults
Hiroshi Mukae*
*Department of Respiratory Medicine, Medical and Dental Sciences, 

Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences, Nagasaki


Keywords: 市中肺炎,院内肺炎,医療・介護関連肺炎,高齢者肺炎/community-acquired pneumonia(CAP), hospital-acquired pneumonia(HAP), nursing and healthcare-associated pneumonia(NHCAP), pneumonia in elderly people


呼吸臨床 2017年1巻1号 論文No.e00005
Jpn Open J Respir Med 2017 Vol. 1 No. 1 Article No.e00005

DOI: 10.24557/kokyurinsho.1.e00005


掲載日:2017年10月2日


©️Hiroshi Mukae. 本論文の複製権,翻訳権,上映権,譲渡権,貸与権,公衆送信権(送信可能化権を含む)は弊社に帰属し,それらの利用ならびに許諾等の管理は弊社が行います。


要旨

 これまで「市中肺炎」,「院内肺炎」,「医療・介護関連肺炎」の3つに分かれていた日本呼吸器学会による成人肺炎診療ガイドラインが,今回1つに統合され「成人肺炎診療ガイドライン2017」として発刊された。エビデンスを重視したガイドラインとするためにMindsの「ガイドライン作成の手引」に準拠し,また,診療のフローチャートでは「市中肺炎」と「院内肺炎/医療・介護関連肺炎」に区分し,高齢者肺炎(誤嚥性肺炎や終末期肺炎)への対応が詳しく検討されるなど,さまざまな変更が行われている。

文献

  1. 日本呼吸器学会成人肺炎診療ガイドライン2017政策委員会, 編. 成人肺炎診療ガイドライン2017.東京:日本呼吸器学会, 2017.
  2. 日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会, 編. 成人市中肺炎診療ガイドライン. 東京: 日本呼吸器学会, 2007.
  3. 日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会, 編. 成人院内肺炎診療ガイドライン. 東京: 日本呼吸器学会, 2008.
  4. 日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会, 編. 医療・介護関連肺炎診療ガイドライン. 東京: 日本呼吸器学会, 2011.
  5. Singer M, et al. The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3). JAMA 2016; 315: 801-10.