呼吸臨床

【特集】「成人肺炎診療ガイドライン2017」を読み解く

企画:川名明彦


 肺炎は,今後も社会の高齢化を反映して増加し続けると予想されます。肺炎はありふれた疾患で,呼吸器科以外の医師も遭遇し得る一方,専門的な知識も求められ,適切な肺炎診療のあり方を示すガイドラインの必要性は高いといえます。このたび日本呼吸器学会の成人市中肺炎診療ガイドラインが10年ぶりに改定されました。新ガイドラインは,真の意味でのevidence based medicineを実践し,「Minds診療ガイドライン作成の手引き」に準拠するなど新しい考え方が導入されています。それと同時に冊子のページ数は旧版のほぼ倍に増え,短時間でその内容を掴むにはややハードルが高くなったようにも見えます。本特集では,この新ガイドラインのポリシーと内容をコンパクトに解説いただくことを企図し,作成に関わった先生方にご執筆をお願いしました。

人工呼吸器関連肺炎(VAP)

志馬伸朗*

*広島大学大学院医歯薬保健学研究科医学分野救急集中治療医学(〒734-8551 広島県広島市南区霞1-2-3)


Ventilator-associated pneumonia

Nobuaki Shime*
*Department of Emergency and Critical Care Medicine, Institute of Biomedical & Health Sciences,  Hiroshima University, Hiroshima


Keywords:人工呼吸器関連肺炎,予防,微生物診断,抗菌薬/ventilator-associated pneumonia,prevention,microbiological diagnosis,antibiotics


呼吸臨床 2017年1巻3号 論文No.e00008
Jpn Open J Respir Med 2017 Vol. 1 No. 3 Article No.e00008

DOI: 10.24557/kokyurinsho.1.e00008


掲載日:2017年12月17日


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要旨

 人工呼吸器関連肺炎(VAP)はICUにおける最頻の感染性合併症であり,致死率は30%と高い。予防策として,早期の呼吸器離脱,誤嚥を回避する体位や幽門後栄養投与,カフ上部吸引などがある。診断において,気管支肺胞洗浄を用いた侵襲的微生物診断を行うべきかどうか議論が続いている。経験的治療の適切性が予後に関連する因子であるが,その選択において肺炎診療ガイドラインを上手く活用する価値がある。