【特集】呼吸器科医に役立つ最先端のメカノバイオロジー研究

企画:寺崎泰弘,ゲストエディター:伊藤理


 生体は常に重力,圧力,ずり応力といった機械的刺激(メカニカルストレス)を受けています。これらメカニカルストレスがどのようにして細胞機能や生体の応答を制御するか,疾患の病態生理に関与するかを追究する研究が「メカノバイオロジー」です。呼吸器は多様なメカニカルストレスにさらされていることから,呼吸器の細胞機能・生理機能や呼吸器疾患の病態機序を解明するうえで,呼吸器メカノバイオロジー研究の果たすべき役割は大きいと期待されています。今回の特集では,メカノバイオロジーを紹介し,研究の魅力と課題をお伝えすることを企画しています。

(伊藤理)

2)各論: 5. 気道肺のリモデリングと線維化のメカノバイオロジー

伊藤 理*

*愛知医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科(〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1-1)


Mechanobiology in remodeling and fibrosis of the lung and airway

Satoru Ito*
*Department of Respiratory Medicine and Allergology,  Aichi Medical University, Nagakute


Keywords:基質硬度,線維化,線維芽細胞,筋線維芽細胞,癌微小環境,α-smooth muscle actin/matrix stiffness,fibrosis,fibroblast,myofibroblast,tumor microenvironment,α-smooth muscle actin


呼吸臨床 2017年1巻3号 論文No.e00022
Jpn Open J Respir Med 2017 Vol. 1 No. 3 Article No.e00022

DOI: 10.24557/kokyurinsho.1.e00022


掲載日:2017年12月21日


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要旨

 呼吸器疾患が発症もしくは進行しリモデリングや線維化が生じると,肺や気道は硬くなる。その結果,肺のコンプライアンス低下や気道の拡張能低下,気流制限など呼吸機能の異常が生じる。組織が硬くなるという現象が,硬い基質に接着する細胞の応答を惹起し,疾患のさらなる進行につながる病態機序が存在することもわかってきた。本稿では肺線維化,気道リモデリング,癌微小環境に関わるメカニカルストレスやメカニカル環境の役割について概説する。