" /> 【Letter to the Editor】『胸部4D-CT「呼吸ダイナミックCT」』についての見解■北岡裕子 |
呼吸臨床

【Letter to the Editor】『胸部4D-CT「呼吸ダイナミックCT」』についての見解

(山城恒雄,著.特集:呼吸機能イメージングの新たな展開. 呼吸臨床 2018; 2: e00056


北岡裕子*

*株式会社JSOL学術顧問(〒104-0053 東京都中央区晴海2-5-24 晴海センタービル)


Opinion for “4-dimensional chest CT ‘Dynamic-ventilation CT’”

Hiroko Kitaoka*

*Science Adviser, JSOL Corporation


呼吸臨床 2019年3巻1号 論文No.e00076
Jpn Open J Respir Med 2019 Vol. 3 No. 1 Article No.e00076

DOI: 10.24557/kokyurinsho.3.e00076


掲載日:2019年1月24日


©️Hiroko Kitaoka. 本論文の複製権,翻訳権,上映権,譲渡権,貸与権,公衆送信権(送信可能化権を含む)は弊社に帰属し,それらの利用ならびに許諾等の管理は弊社が行います。

 

 2018年12月10日に貴誌に掲載されました当該論文には,安静呼吸中の健常者とCOPD患者の画像が掲載されています。健常者の画像は動画で,気管の動態が前頭断面と水平断面の双方で明瞭に観察できます。ところが,COPD患者の画像は動画ではなく,吸気相と呼気相のスナップショットです。しかも,そのスナップショットは心臓部の水平断面のみで,気管は全く写っていません。気道閉塞性疾患でありながら,気道ではなく心臓の形状が示されていることはきわめて奇異なことです。通常の医学論文では,健常者と患者の比較は,同じ条件,同じ部位で撮影された画像でなされますが,この論文では同じ条件で撮影されていながら,異なる部位が異なる方法で示されており,整合性がありません。健常者の動画と同じ部位の動画を掲載するのが適切と考えます。


 また,論文中に,最大努力呼気中の撮影をしない理由として,「COPDなど閉塞性換気障害の患者では,呼気相の延長が生じているはずで,その場合スパイロメトリーを再現するような「最大吸気から最大呼気まで」で呼吸ダイナミックCTを撮影すると相当の長時間撮影・高被曝になるであろうことが容易に予想される。」とありますが,1秒量は呼気開始から1秒間の呼出気量ですから,1秒量との直接的な対比を行なうための撮影は,前後1秒を加えても3秒間で済みます。本論文で示された撮影時間5秒よりも短いです。したがいまして,上記の説明は,呼吸機能検査で最も多用されている最大努力呼気検査と同じ呼吸モードで撮影しない理由として,読者を納得させるものではありません。COPDにおいて最大努力呼気時と安静呼息時のフローボリューム曲線のパターンが大きく異なることはよく知られています。その原因を4DCT画像でぜひお示しいただきたく思います。