呼吸臨床

【特集】遺伝子診断を加味した画像診断

企画:楠本昌彦


 肺癌のドライバー遺伝子変異に関しては複数が見つかっており,それに対応した分子標的薬は肺癌診療を大きく進歩させつつある。肺癌の遺伝子異常は数多く調べられているが,これらの遺伝子異常とその肺癌が持つ画像的特徴については,まだまだ広く知られる状況にはない。それは,おそらくこれらの遺伝子情報が画像所見と直接結びつかないためと思われる。かといって,まったく無関係であるというのでもなさそうである。今回は,現在よく知られている肺癌の遺伝子異常とその肺癌がもつ画像的特徴について,現時点でどれだけの関連性があるのか,ないのか,ということに力点をおいてそれぞれのエキスパートに概説していただき,そのうえで臨床現場に還元できるところを探っていきたい。

ALK陽性肺癌のCT像

遠藤正浩*,朝倉弘郁*

*静岡県立静岡がんセンター画像診断科(〒411-8777 静岡県駿東郡長泉町下長窪1007)


CT images of ALK-positive lung cancer

Masahiro Endo*, Koiku Asakura*

*Division of Diagnostic Radiology, Shizuoka Cancer Center, Shizuoka


Keywords:CT,ALK融合遺伝子,上皮細胞成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子変異,ALK陽性肺癌,radiogenomics/computed tomography,anaplastic lymphoma kinase(ALK)fusion gene,epidermal growth factor receptor(EGFR)gene mutation, ALK-positive lung cancer,radiogenomics



呼吸臨床 2018年2巻7号 論文No.e00048
Jpn Open J Respir Med 2018 Vol.2 No.7  Article No.e00048

DOI: 10.24557/kokyurinsho.2.e00048


掲載日:2018年7月30日


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要旨

 ALK陽性肺癌は,臨床的にはほかの肺癌患者と比較して,相対的に若年で非喫煙者に認められることが多い。病理学的には,粘液性腺癌のmucinous cribriform patternが特徴的で,原発巣は,特に大きくなく,ムチンを反映する内部低吸収の腫瘤が特徴的である。強いリンパ管浸潤を反映して,癌性リンパ管症や広範なリンパ節転移とextranodal invasionの所見を呈することが多い。それに伴って胸水貯留も高頻度で認められるが,遠隔転移に特徴的な所見は認められない。