呼吸臨床

【特集】特発性間質性肺炎の診療の現状と将来展望

企画:小倉高志


 最近,特発性間質性肺炎(IIPs)は次の点で注目されています。①IIPsの中でも頻度の高く,難治性といわれている特発性肺線維症(IPF)に対する2つの抗線維化薬(ピルフェニドン,ニンテダティブ)が出現して,IIPsならIPFか,それ以外のnon-IPFかの鑑別がすることが治療選択や予後に大きく影響を与えるようになりました。②無症状で潜在性な間質性肺炎患者が増加している可能性が示唆されています。すなわち,いくつもの成人病のコホート,肺癌やCOPDのCT検診でInterstitial Lung Abnormalities(ILA)を8〜10%に認めて,その一部はIPFに進展する可能性あるという報告がされています。呼吸器内科医すべてが,IIPsの診断,治療にかかわる機会が多くなることが予想されます。今回,IIPs診療の第一線で治療にあたっている専門家にIIPsの最近の診断と治療について解説していただきます。

特発性肺線維症の予後因子と重症度分類

千葉弘文*,錦織博貴*,高橋弘毅*

*札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座(〒060-8556 札幌市中央区南1条西16丁目)


Prognostic factors and severity classification of idiopathic pulmonary fibrosis

Hirofumi Chiba*, Hirotaka Nishikiori*, Hiroki Takahashi*

*Department of Respiratory Medicine and Allergology, Sapporo Medical University, Sapporo


Keywords:特発性肺線維症,予後規定因子,重症度分類,GAPモデル,人種差/idiopathic pulmonary fibrosis,prognostic factors,severity classification,GAP model,racial difference


呼吸臨床 2018年2巻5号 論文No.e00041
Jpn Open J Respir Med 2018 Vol.2 No.5  Article No.e00041

DOI: 10.24557/kokyurinsho.2.e00041


掲載日:2018年5月18日


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要旨

 特発性肺線維症(IPF)は,臨床経過の個人差が大きく,診療方針決定にあたり個々の予後を正しく予測することが重要となる。日本の重症度分類は,公的扶助対象者選定の目的で作成されており,予後予測に関するエビデンスに乏しい。米国で開発されたGAPモデルは,IPFの予後を予測し重症度分類のグローバルスタンダードとなりつつあるが,IPFの病態には人種差があり,日本人にそのまま適応できないことが示されている。今後,日本人に適した重症度分類の開発が求められている。