呼吸臨床

【特集】肺疾患のあらたな診断手技としてのクライオバイオプシー

企画:武村民子


 肺の腫瘍性疾患ならびにびまん性肺疾患の診断のために,これまでのTBLBや,VATSなどの外科的肺生検が行われてきました。欧米では近年,肺生検に関してはクライオバイオプシーが主流になりつつあります。クライオバイオプシーは経気管支的に窒素または炭酸ガスをプローベ内に循環させ,組織を凍結して採取してくる新しい技術です。本年,わが国においても保険適用が決まり,今後クライオによる診断が増加してくると思われます。そこで今回,クライオバイオプシーについてのミニ特集を企画しました。

肺癌診療のためのクライオプローブ生検

宇田川響* 桐田圭輔*

*国立がん研究センター東病院呼吸器内科(〒277-8577千葉県柏市柏の葉6-5-1)


Cryoprobe biopsy for lung cancer treatment
Hibiki Udagawa*, Keisuke Kirita*
*Department of Respiratory Medicine, National Cancer Center Hospital East, Kashiwa


Keywords: 肺癌,クライオプローブ/lung cancer,CryoProbeR


呼吸臨床 2017年1巻1号 論文No.e00002
Jpn Open J Respir Med 2017 Vol. 1 No. 1 Article No.e00002

DOI: 10.24557/kokyurinsho.1.e00002


掲載日:2017年10月2日


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要旨

 クライオプローブ生検は,凍結させることにより組織を採取する,新しい生検方法であり,大きな検体の採取が可能である。海外の臨床試験の結果や当院での臨床試験の経験から,クライオプローブ生検は,肺癌診療において,有効かつ比較的安全な生検方法と考えられる。一方,安全に実施するためには,気管内出血などの有害事象への適切な対応の習得が求められる。

文献

  1. Hetzel J, Eberhardt R, Herth FJ, et al. Cryobiopsy increases the diagnostic yield of endobronchial biopsy: a multicentre trial. Eur Respir J. 2012; 39: 685-90.