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脳腫瘍へのTリンパ球集積に関わるホーミング機構(A homing system targets therapeutic T cells to brain cancer) |
(2)神経科学/音の選択と大脳皮質による学習
運動によって生じる音の抑制を学習する大脳皮質のフィルター機構(A cortical filter that learns to suppress the acoustic consequences of movement) |
(3)その他
ヒトの細胞分裂の動的な蛋白アトラス作成に必要な,実験およびコンピューターによる枠組み(Experimental and computational framework for a dynamic protein atlas of human cell division) |
ヒトの細胞分裂に関わる動的蛋白質アトラスを作成するため,四次元画像データに基づいて,ヒト細胞の有糸分裂が進行する際に起こる形態変化のモデルを作成したという報告。このようなシステムは細胞分裂に限らず,様々な生命現象に関わる動的蛋白アトラスに応用できるということ。医学生が勉強する教材が全て動画になる時代もそう遠くないかもしれない。
ゲノム規模でオフターゲット変異を伴わないin vivo CRISPR編集(In vivo CRISPR editing with no detectable genome-wide off-target mutations) |
CRISPR–Casゲノム編集は,治療応用に向けて大きな可能性を持っているが,安全性の問題として,目的としていないオフターゲット変異の可能性が懸念されていた。しかしながらこれまでin vivoでオフターゲットをきちんと特定できる方法はなく,オフターゲット変異が実際に生じているのかどうか,またどの程度の頻度で生じているのかも不明であった。この問題を克服するものとして,オフターゲットを高感度で,定量的に検出可能な方法が樹立された。
(1)呼吸器 In depth
2剤の併用治療が睡眠時無呼吸に対して有望な可能性(Drug pair shows promise for treating sleep apnea) |
閉塞型睡眠時無呼吸症候群に対して,2種類の薬を眠前に内服することが有効であるという報告。ERSでボストンのBrigham and Women’s Hospitalが報告した内容を取り上げている。2種類の内服薬は,atomoxetine(ノルアドレナリン再取り込み阻害剤。日本での適応は注意欠陥多動性障害)とoxybutynin(この用途では舌下神経のアセチルコリン受容体刺激の阻害。過活動性膀胱の治療などに用いられている)。20症例と少ないトライアルではあるが,apnea-hypopnea indexのmedianが28.5から7.5まで低下。全ての患者で,少なくとも50%以上のAHIの改善が認められたということ。しかしながら,まだ少数例での検討であることや,中途覚醒の頻度は依然として高いなど問題が複数残されている。CPAPフリーの治療介入が可能かどうか,今後の動向が期待される。
(2)微生物学 Reviews
宿主に関連した腸内細菌コミュニティーにおける細菌阻害機構(Bacterial antagonism in host-associated microbial communities) |
近年腸内細菌の網羅的遺伝子解析の進歩により,腸内細菌叢を構成するさまざまな細菌は,それぞれ何らかの手段を用いて,お互い阻害しあいながら共存しバランスを取っていることが知られるようになった。この総説は,細菌が放出する,他の細菌を阻害する効果を有するペプチドに焦点をあてて概説している。現在,腸内細菌のプロファイルはさまざまな疾患や治療への感受性に関わることが示されている。抗生物質や便移植などの手段とは別に,これら阻害作用を有するペプチドは治療標的となることが期待される。
(3)神経科学と微生物学
栄養を感知して伝達する腸管-脳神経回路(A gut-brain neural circuit for nutrient sensory transduction) |
これまで脳と腸管のコミュニケーションは,コレシストキニンなどのホルモンのやり取りが主に行われていると考えられてきた。しかしながら,この腸と脳の連絡には時間がかかり,もっと短時間で連絡を取り合う機構が存在する可能性が示唆されていたが,詳細は不明であった。
今回,マウスを用いた実験により,腸管内分泌細胞は迷走神経とシナプスを形成し,グルタミン酸を神経伝達物質としてミリ秒単位で信号を伝達することが明らかになった。著者らはこの細胞をneuropod 細胞と名付けた。この神経回路は,腸管内腔と脳幹を一回のシナプスを介して連絡しており,これまで不明であった短時間での神経伝達を可能にする経路として初めて特定された。
(4)バイオテクノロジー
標的配列の制限が緩和された新たなCRISPR-Cas9 nuclease(Engineered CRISPR-Cas9 nuclease with expanded targeting space) |
東大濡木研とMIT Feng Zhang labによる共同研究。CRISPR-Cas9による遺伝子編集において一般的に用いられているCas9(Streptococcus pyogenes由来の Cas9 酵素)は,NGG(NはA,T,C,G なんでも可という意味)という3塩基の配列を認識して切断するという性質を持っていた。今回開発された Cas9-NG は,三番目のGの認識が必要なく,NGのみの認識で切断が可能になったというもの。塩基の制限が一つ減ることで,標的の可能性が大きくなること,従来型と比較して特異性は代わらないことが示されており,汎用性の高い新世代のCas9として期待される。
肥満患者においてロルカセリンは心血管系への安全性を示した(Cardiovascular safety of lorcaserin in overweight or obese patients) |
長期入院症例におけるリバーロキサバンの血栓予防効果(Rivaroxaban for thromboprophylaxis after hospitalization for medical illness) |
抗原抗体反応よって誘導される固形臓器同種移植片に対する拒絶反応(Antibody-mediated rejection of solid-organ allografts) |
結核性腹膜炎(Tuberculous peritonitis) |