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「ほぼ週刊 トップジャーナル・ハック!」No. 146

公開日:2021.5.26


今週のジャーナル

Nature Vol. 593, No.7859(2021年5月20日)日本語版 英語版

Sci Immunol Vol. 6, Issue 59(2021年5月)英語版

NEJM Vol. 384, No. 20(2021年5月20日)日本語版 英語版







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ハンセン病治療薬クロファジミンがSARS-CoV-2に有効な可能性/MAO-A阻害薬は免疫チェックポイント阻害薬として使えるかも/米ノババックス社SARS-CoV-2ワクチンの第2相試験

•Nature

1)クロファジミン

ハンセン病治療薬クロファジミンはSARS-CoV-2含めたコロナウイルスを広く抑制する(Clofazimine broadly inhibits coronaviruses including SARS-CoV-2

 香港大学と米国サンフォード・バーナム・プレビス医学研究所からの共同研究の報告で,ハンセン病治療薬として使用されているクロファジミンがコロナウイルスの抑制に効くのではないかという内容である。この研究チームは昨年,既存薬の大規模スクリーニングを実施してその結果をNature誌に報告している(リンク)が,今回の論文のクロファジミンはその時にヒットしていた化合物の1つである。最初に断っておくと,これは非臨床研究であり,実際にCOVID-19に効くかどうかは今後治験を行ってちゃんと確認する必要があるということはご理解いただきたい。日本では「ドラッグリポジショニング」という言葉で知られているが,承認されている疾患の治療目的以外で,他の疾患の治療目的で使用することは保険外診療なので通常認められていないが,すでにヒトでの安全性や薬物動態がわかっている薬剤を適応症に追加するだけで有効な治療を期待できるとしたら,研究開発にかかる膨大な費用や時間の縮小にもつながり,ひいては開発費が反映される医療費の高騰も抑えることにつながるので,是非期待したいところである。


 Fig.1ではまず,in vitro試験でSARS-CoV-2,MERS-CoVをクロファジミンが抑制することを示し,さらにヒト肺組織をex vivo培養して各ウイルスを感染する実験でも薬効を確認した。他にもSARS-CoVや一般的なコロナウイルスとして知られるHCoV-229E,HCoV-OC43に対してもin vitro試験で薬効を認めることをレムデシビルと対照として確認し,コロナウイルス全般にクロファジミンの抑制効果を認めたとしている。次に,Fig.2ではクロファジミン がどこに効いているかを調べるため,各コロナウイルスのスパイク蛋白質を発現させた偽型ウイルスを用いてVero E6細胞に感染するかを調べたところ,MERS-CoVのスパイク蛋白質に対しては感染抑制効果を認めなかったが,SARS-CoV,SARS-CoV-2には感染抑制効果を認めた。細胞融合が標的となっていることを証明するため,SARS-CoV-2のS蛋白質とEGFPを両方発現したVero細胞を発現していないVero細胞と一緒に培養して蛍光が広がることで細胞融合の程度を判定する方法でクロファジミンが濃度依存的に細胞融合を抑制することを示した。また,ウイルス複製に対する阻害作用を調べるため,in vitroでウイルスRNAの複製を阻害する効果があるかをレムデシビルと比較して阻害作用を確認し,FRETを利用してSARS-CoV-2ヘリカーゼよって二重鎖DNAとRNAがそれぞれ解かれる作用をクロファジミンが用量依存的に抑制することも証明した。Fig.3ではハムスターを用いて,クロファジミンを予防レジメンと治療レジメンの2種類で経口投与して薬効を調べ,体重の改善,肺組織と糞便でのウイルス力価の抑制効果を確認した。鼻洗浄液でのウイルス力価には有意差のある抑制効果は認めなかった(有意差はつかないが1/2には低下)。またハムスター血清でのIL-6の抑制効果も確認し,病理組織でも肺胞破壊や肺胞・血管・気管周囲の細胞浸潤などをスコア化して改善することを示している(Extended Data Fig.7)。最後にFig.4ではクロファジミンとレムデシビルの相乗効果について調べている。In vitro試験ではVero E6細胞を用いた感染実験で,濃度を振ったクロファジミンとレムデシビルを添加して,synergy finderという方法で最適濃度を決定したところ,クロファジミン1.25μMに設定するとレムデシビルは単剤投与時の1/10程度でも90%のウイルス抑制効果を示すことがわかった。これを受けて,クロファジミンを15mg/kg(ヒトでの100mgに相当),レムデシビルは1.5mg/kgと少量に設定してSARS-CoV-2感染ハムスターに同時投与したところ,体重減少の抑制効果,肺組織での顕著なウイルス力価抑制,単剤では有意差のつかなかった鼻洗浄液からのウイルス力価もの有意に抑制することがわかった。


 クロファジミンは日本では「ランプレンカプセル」という商品名で50mgで202.1円という薬価が付いており,ハンセン病では50〜100mg/日が使用されることが多い。保険適用外になるが,多剤耐性結核や重症肺MAC症でも申請して用いられることのある薬剤である。呼吸器専門医には使用経験のある先生もおられることも考えると,今後行われる臨床治験の結果によっては是非期待したいところである。


•Science Immunology

1)癌免疫療法

モノアミン酸化酵素AはT細胞癌免疫療法の標的である(Targeting monoamine oxidase A for T cell–based cancer immunotherapy

 モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬は古くからある抗うつ薬で,特にMAO-A阻害は脳内ノルアドレナリンやセロトニンの分解を防ぐことで薬効を発揮することが知られている。日本ではいまでは使用されていないが,米国では選択性の低いphenelzineが使用可能で,MAO-Aを選択的に阻害するmoclobenemideも海外で使用されている(日本では肝毒性のため開発が中止)。また,MAO-Bについてはドーパミンの分解を抑制する作用があるため,選択的阻害薬が現在もパーキンソン病の治療にも用いられている。今回の研究では脳での役割について昔からよく知られてきたMAO-Aが,脳以外のところでは免疫チェックポイントの1つとして機能しているという内容で,MAO-A阻害薬が免疫チェックポイント阻害薬として,これもまた「ドラッグリポジショニング」に使える可能性があるという米国UCLAの研究室からの非臨床研究の報告で,今後の臨床治験が期待される内容である。以下,順番に見ていく。


 まず,B6系統のマウスにオボアルブミン(OVA)を発現したB6マウス由来のメラノーマ腫瘍細胞(B16株)を植え付けて,腫瘍に浸潤する免疫細胞を単離してMAO-Aの発現が,腫瘍細胞を移植しないマウスよりも上昇していることを確認したことから始まっている(Fig.1)。MAO-A欠損マウスと野生型マウスのそれぞれに大腸癌細胞(MC38株)とOVA発現メラノーマ腫瘍細胞(B16株)を植え付けたときを比較し,4週間までの間に腫瘍体積がMAO-A欠損マウスでは少なかったことを示した。腫瘍に浸潤していた細胞障害性CD8陽性T細胞を調べ,エフェクター作用に重要なインターフェロンγや細胞障害性のグランザイムBの発現が亢進し,PD-1は低下していた。シングルセルRNA-seq解析も実施して,MAO-Aが細胞障害性CD8陽性T細胞による抗腫瘍効果に関係することを明らかにした。


 次にMAO-A欠損が免疫細胞と非免疫細胞のどちらに影響しているのかを決定するため,2種類の骨髄細胞の移植実験を行った。1つ目はCD45.1を発現する野生型マウスに,CD45.2を発現する野生型とMaoa欠損マウスの骨髄細胞を移植し,OVA発現B16腫瘍細胞を移植した。2つ目はCD45.2発現野生型とMaoa欠損マウスにCD45.1発現野生型マウスの骨髄細胞を移植し,OVA発現B16腫瘍細胞を移植した。いずれもT細胞が生着したが,腫瘍は免疫細胞においてMaoaを欠損した場合のみ腫瘍が抑制されたので,MAO-Aは免疫細胞による抗腫瘍効果を直接制御していることがわかった。さらにMAO-Aが直接制御しているのはCD8陽性T細胞かを調べるために,OVA特異的TCRを発現するトランスジェニックマウスとMaoa欠損マウスを掛け合わせて,OVA特異的TCRを発現するがMaoaを欠損したCD8陽性T細胞を作れるマウスを作出し,野生型Maoaとその欠損マウスのOT1 T細胞をOVA発現B16腫瘍細胞を生着させたCD45.1発現野生型マウスに移植したところ,いずれも腫瘍には浸潤して活性化したが,Maoa欠損のOT1 T細胞が野生型MaoaのOT1 T細胞よりも強く腫瘍増殖を抑制したことから,MAO-AはCD8陽性T細胞による抗腫瘍効果を直接制御していることがわかった。


 CD8陽性T細胞の中でもどのような細胞にMaoaの遺伝子発現が亢進するかを調べたところ,T細胞疲弊がもっと顕著と考えられるPD-1,Tim-3,LAG-3のマーカーがいずれも強発現のCD8陽性T細胞において亢進していることがわかり,研究者らは腫瘍抗原を認識後にMaoaが誘導されるのは抗腫瘍効果を抑制するための負の制御機構なのでないかと仮説を立てた。そこで腫瘍抗原刺激の代わりとなる抗CD3抗体で,Maoa欠損CD8陽性T細胞に刺激を加えてみると,T細胞活性化の指標となるCD25,IL-2,IFN-γ,Granzyme Bの発現が野生型よりも上昇することがわかった。これをさらにレトロウイルスでMaoa欠損CD8陽性T細胞にMaoaの遺伝子強制発現させる実験も行って整合性ある結果を得ている。


 免疫におけるMAO-Aとセロトニンの関係について,非選択的MAO阻害薬として知られるphenelzineでMAO-Aを抑制すると野生型CD8陽性T細胞でセロトニンの過剰産生が誘発され,IL-2やIFN-γが産生された。またセロトニンを添加しても野生型CD8陽性T細胞はIL-2やIFN-γを産生した。セロトニン受容体拮抗薬を加えると,抗CD3抗体刺激後のMaoa野生型と欠損型のCD8陽性T細胞のサイトカイン応答の違いは失われた。in vivoでもMAO-A欠損マウスやphenelzine投与マウスでは腫瘍内セロトニンが上昇しており,CD8陽性T細胞を除去すると,phenelzine投与後の腫瘍内セロトニン産生は抑制されたことから腫瘍内に浸潤するCD8陽性T細胞こそがセロトニンの産生源で,MAO-Aにより抑制されていることがわかった。ただし血清内のセロトニン濃度はどの条件下でも変化しないので,MAO-Aによるセロトニン調節は脳と似ていて局所で行われていると考えられた。


 次にMAO-A阻害薬が免疫チェックポイント阻害薬として使えるかを検討した(Fig.5)。phenelzineだけでなく,可逆的なMAO-A選択的阻害薬であるmoclobemideや,不可逆的なMAO-A選択的阻害薬であるclorgylineでもCD8陽性T細胞を活性化し,OVA発現B16メラノーマ腫瘍細胞がマウスでの生着や腫瘍増殖を抑制した。この抑制効果はCD8陽性T細胞を除去すると認めなかった。さらにPD-1阻害との組み合わせによって腫瘍増殖の抑制効果が強まることも見出した。ヒト癌細胞での効果を調べるため,phenelzineによってヒトCD8陽性T細胞が活性化することを確認した上で,研究者たちはT細胞やB細胞などを欠損する重度免疫不全(NSG)マウスを用いて,NY-ESO-1という腫瘍抗原と対応するHLA-A2をレポーター遺伝子と共発現させたヒトメラノーマ細胞(A375)株と,この腫瘍抗原を認識できるT細胞受容体をレトロウイルスで強制発現させたヒト末梢血CD8陽性T細胞をマウスに移植した。そしてマウスにphenelzine投与してヒト由来癌細胞とヒトCD8陽性T細胞の相互作用を調べたところ,やはり腫瘍増殖は抑制された(Fig.6)。さらに臨床応用に向けた可能性を調べるため,データベースでMAO-Aの腫瘍組織内発現量,腫瘍組織内CD8陽性T細胞の活性を特徴づける遺伝子の発現量,患者予後について相関性を調べたところ,大腸癌,肺癌,子宮頸癌,膵臓癌において,MAO-Aの発現量が少なくて,腫瘍浸潤するCD8陽性T細胞の活性が高いほど予後が良いことが推定できた。特にPD-1阻害療法を受けているメラノーマ患者群ではその傾向が顕著で,MAO-A阻害薬とPD-1阻害療法の併用が期待を持てるのではないかとしている。また,本文ではMAO-A阻害薬が癌治療中の患者に見られる抑うつ状態にも有効ではないかと述べられているが,日本から報告されているPD-1欠損マウスの研究(リンク)では,脳内のセロトニンやドーパミンを減少させて不安様行動や恐怖反応が増強したとされ,もし臨床治験で併用療法が癌治療に有効であれば,QOL面での効果も期待できるのかもしれない。

•NEJM

1)COVID-19ワクチン

COVID-19ワクチンNVX-CoV2373(米ノババックス社)のB1.351変異型への有効性(Efficacy of NVX-CoV2373 Covid-19 vaccine against the B.1.351 variant

 新型コロナウイルスワクチンは国内でもファイザー社のBNT162b2に加え,モデルナ社のmRNA-1273のワクチン接種が始まった。アストラゼネカ社のワクチンも承認され,今後も新しいワクチンが出てくると期待される。今週号のNEJMでは,現在Phase IIIまで開発が進められて日本での生産も検討されているという米ノババックス社の南アフリカ型(B1.351変異型)への有効性が報告されていたので,それを取り挙げる。


 NVX-CoV2373はSARS-CoV-2のスパイク蛋白質(武漢型)の全長の組換え蛋白質が免疫原となっている。ワクチン製剤としては組換え蛋白質の発現用に広く使われている昆虫由来の培養細胞株に大量発現し三量体として精製し,ポリソルベートという乳化剤と混ぜてナノ粒子にして,サポニンを元にしたアジュバントMatrix-M1と混ぜて製剤としたものである。第1,2相試験はすでにNEJM誌に掲載されている(リンク)が今回は南アフリカで実施していた治験が途中で変異株(B1.351変異型)に置き換わってしまったことで得られた変異株への有効性に関する情報を強調した内容となっている。


 2020年8月17日から11月25日まで南アフリカの16カ所で,18歳から84歳までのHIVに感染していない治験参加者と,18歳から64歳までの病状の安定したHIV感染のある治験参加者を登録し,登録時にSARS-CoV-2のスパイク蛋白質への抗体を測定した。Stage 1は全体の1/3を登録。Stage 2では残り2/3を登録し,安全性に問題がある場合は治験を中止する基準も設定した。妊婦,免疫抑制状態,自己免疫疾患,HIV感染しても安定した状態にある患者以外の免疫不全患者,COVID-19確定診断や疑いのある患者,ワクチン接種前5日以内のPCRでSARS-CoV-2陽性だった患者は除外された。


 治験は5μgの組換えスパイク蛋白質と50μgのMarix-M1アジュバントの筋肉注射として,3週間空けて2回接種で行われ,治験参加者は1:1の比率でワクチンとプラセボにランダムに割り付けられた。フォローアップは1,3,5週間後,3,6カ月後に採血含めた受診,12カ月後に電話でのフォローアップがされる計画となっている。有効性評価は2回目の接種から12カ月まで2週間おきの治験場所からの電話,発症時に治験参加者からの電話で症状を確認し,鼻腔ぬぐい液のPCRで検査した。治験参加者4387名が最低1回の接種を受けた。30%はSARS-Co-V-2スパイク蛋白質抗体陽性で,57%は男性で95.3%は黒人,安全性については概ね軽症~中等症で一過性だったが,プラセボよりもワクチン接種群に多い傾向にあった。接種部位の痛みはワクチン接種群の40%弱,プラセボ群は15%程度で1回目も2回目も痛みの発症率はあまり変わらなかったが,強い痛みを訴えるケースはプラセボ群で1%に対して,ワクチン群は4%だった。その他,頭痛は20〜25%,筋痛は17〜20%,全身倦怠感は12〜16%,2回目接種の方が長引く傾向は見られたが,3日以内には収まっていた。抗体陰性と陽性の治験参加者ではワクチンへの反応性には特に違いを認めなかった。全体として治験中止基準に抵触することはなかった。


 2回目の接種が終ってから7日目(1回目接種から28日目)までの間での感染者数で有効性を算出した結果がわかりやすくVISUAL ABSTACTにまとめられている。抗体陰性者ではワクチン群では15症例,プラセボ群では29症例の症候性COVID-19を認めたため,全体での有効性を49.4%と算出した。HIV陰性者に絞ると60.1%だった。HIV陰性でSARS-CoV-2抗体陽性者では52.2%だった。

 
 抗体陰性だった治験参加者のうち,2020年11月23日から12月30日までの症候性COVID-19が44症例に見つかり,41症例についてウイルスの全ゲノムシーケンスを実施したところ,38症例(93%)でB.1.351変異型が見つかったので,その情報をもとにB.1.351変異型に対するワクチンの有効性を算出したところ,HIV陰性患者では51.0%(ワクチン群が11症例,プラセボ群が22症例),HIV陽性・陰性併せてみると43%(ワクチン群が14症例,プラセボ群が24症例)だった。


 興味深いことにプラセボ群の60日間のフォローアップでわかったことは,抗体陰性群での5.3%の感染率(1516名中80症例)で,抗体陽性群の5.2%(674名中35症例)とほとんど変わらなかったことから,B.1.351変異型が出現する以前にCOVID-19に罹患しても,B.1.1351変異型への感染リスクが減っていないことが示唆されるので,今回のワクチンでは過去のCOVID-19の感染の有無に関係なくB.1.1351変異型に有効だったのは注目に値するとしている。
英国で実施中の第III相試験の中間解析では(まだ論文化されていないが,企業のプレスリリースで見ることができる),武漢型で96%,B.1.1.7変異型(英国型)で86%の有効性と報告しており,英国型までは他のワクチンと遜色ない効果が期待されているが,B.1.351変異型についての情報はまだ得られていなかった。南アフリカで治験が実施されているジョンソン・エンド・ジョンソン社のAd26.COV2.Sワクチンについては6576名の治験参加者で中等症から重症COVID-19(95%がB.1.351変異型)に対して,14日間で52%,28日間で64%の有効性があるとされ,アストラゼネカ社のChAdOx1 nCoV-19は2026名治験参加者で軽症から中等症COVID-19(95%がB.1.351変異型)に対して10%の有効率だったという(リンク)。


 なお,本論文にはまだデータがでていないと記載されていたが,NEJMに5月5日付でファイザーのmRNAワクチンのB.1.351変異型への有効率がCorrespondenceに掲載されている。


 また,国立感染研究所も変異型に対する新型コロナウイルスワクチンについて5月10日付でまとめた情報を公開している(リンク)。変異株に対する新型コロナワクチンへの有効性はまだ短期間での有効性評価にとどまっているため,まだ情報が十分とは言えない。とはいえ,科学的に証明された範囲での有効性が各ワクチンとも証明されているわけなので,緊急事態宣言を繰り返さざるを得なくなっている現状を考えると,少なくとも変異株に効くワクチンが出てくるまで待つというのは避けた方がよく,公衆衛生学の観点からは承認済みのワクチンは禁忌でない限りは早めに打った方が良いであろう。



今週の写真:気分転換に晴れた日の大文字山に登ってきました。


(後藤慎平)



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